亜鉛を育毛目的で使用する際に知っておきたいこと

亜鉛には育毛効果があると言われていて、育毛サプリメントに配合されていたり、AGAスキンクリニックのオリジナル発毛薬「Rebirth」にも配合されているなど、薄毛で悩む多くの人に利用されています。
また、亜鉛サプリメントについては、ドラッグストアなどで手軽に購入できるものなので、育毛効果があるのならばぜひ使用してみたいと思ってる人もいることでしょう。
そこで、育毛目的で亜鉛を使用する際に、知っておきたい知識についてまとめてみました。
なお、『知識』と書くと堅苦しいイメージがあると思いますが、そんな難しい話ではないので、気軽な気持ちで読んでみてください。
目次
亜鉛とは?
亜鉛(元素記号:Zn)は人体に必要な必須ミネラル16種のうちの1つです。
成人の体内に約2g存在していて、主に皮膚や骨、肝臓、眼球、筋肉などに含まれています。
その働きはとても重要で、味覚を正常に保ち、新陳代謝やエネルギー代謝、皮膚や粘膜の健康を助ける栄養素となりますが、人の体内で作ることはできないため、毎日の食事やサプリメントなどからとる必要があります。
亜鉛と髪の毛の関係
髪の毛が作られるしくみを簡単に説明すると、以下のようになります。
①毛球部分にある毛乳頭(細胞)が、その周りにある毛母細胞に髪をつくるように指令を出します。
②指令を受けた毛母細胞は細胞分裂して『ケラチン』というタンパク質をつくり、これが積み重なり長くなって毛髪になります。
ケラチンは18種類のアミノ酸が合成してできているのですが、その合成に必要不可欠なのが亜鉛になります。
亜鉛は細胞の分裂を促進し、ケラチンの合成、髪の成長を助け、頭皮の健康を保つのに役立っています。
また、亜鉛には、ジヒドロテストステロン(DHT)を生成する5αリダクターゼを阻害する働きがあるともされています。
AGA(男性型脱毛症)による薄毛はDHTによって引き起こされているので、もし本当に阻害できるのならば、AGAを抑止できる効果まで備わっていることになります。
亜鉛が多く含まれている食べ物
さきほども話しましたが、亜鉛は体内では作られないので、毎日の食事やサプリメントなどからとる必要があります。
ここでは、亜鉛が多く含まれる食べ物について、まとめてみました。
食品名 | 可食部100g当たりの亜鉛(㎎) |
---|---|
かき くん製油漬缶詰 | 25.4 |
小麦はいが | 15.9 |
かき 養殖 水煮 | 14.5 |
かき 養殖 生 | 13.2 |
(かつお類) 加工品 塩辛 | 11.8 |
香辛料パプリカ 粉 | 10.3 |
ぼら からすみ | 9.3 |
うし [加工品] ビーフジャーキー | 8.8 |
ぶた [その他] スモークレバー | 8.7 |
ごまさば さば節 | 8.4 |
かたくちいわし 田作り | 7.9 |
酵母 パン酵母 圧搾 | 7.8 |
かぼちゃ いり 味付け | 7.7 |
うし [ひき肉] 焼き | 7.6 |
うし [輸入牛肉] もも 皮下脂肪なし ゆで | 7.5 |
ナチュラルチーズ パルメザン | 7.3 |
かたくちいわし 煮干し | 7.2 |
こい 養殖 内臓 生 | 7.0 |
ココア ピュアココア | 7.0 |
まつ 生 | 6.9 |
まいたけ 乾 | 6.9 |
ぶた [副生物] 肝臓 生 | 6.9 |
たたみいわし | 6.6 |
うし [乳用肥育牛肉] もも 皮下脂肪なし ゆで | 6.6 |
うし [輸入牛肉] もも 皮下脂肪なし 焼き | 6.6 |
からし 粉 | 6.6 |
うし [輸入牛肉] リブロース 脂身つき ゆで | 6.5 |
うし [和牛肉] もも 皮下脂肪なし ゆで | 6.4 |
うし [乳用肥育牛肉] もも 皮下脂肪なし 焼き | 6.4 |
うし [輸入牛肉] かたロース 赤肉 生 | 6.4 |
たらばがに 水煮缶詰 | 6.3 |
うし [和牛肉] もも 皮下脂肪なし 焼き | 6.3 |
うし [輸入牛肉] リブロース 脂身つき 焼き | 6.3 |
(緑茶類) 抹茶 | 6.3 |
干しわらび 乾 | 6.2 |
たにし 生 | 6.2 |
あまに いり | 6.1 |
いたやがい 養殖 生 | 6.1 |
ほたてがい 貝柱 煮干し | 6.1 |
大豆はいが | 6.0 |
あさ 乾 | 6.0 |
ごま ねり | 6.0 |
まつ いり | 6.0 |
うし [乳用肥育牛肉] ヒレ 赤肉 焼き | 6.0 |
※『日本食品標準成分表』より作成
こういったものを食することで、亜鉛の含まれているサプリメントに頼らなくても、体に必要な亜鉛を十分に得ることができます。
さらに詳しい情報を知りたい方は、文部科学省のホームページ内にある『日本食品標準成分表2015年版』を確認してみてください。
亜鉛を摂取する際の注意点
通常の食事をするだけでは亜鉛の過剰摂取の可能性は低いですが、亜鉛を過剰摂取した場合には、銅欠乏、貧血、胃の不調など様々な健康被害が生じることが知られています。
また、飲酒の際に亜鉛はアルコールの代謝に使用されるので、よくお酒を飲む人は亜鉛不足に注意が必要です。
亜鉛の推奨量
厚生労働省発表の『日本人の食事摂取基準(2015 年版)』によると、亜鉛の1日の推奨量は18~69歳の男性で10㎎、70歳以上の男性で9㎎、18~69歳の女性で8㎎、70歳以上男性で7㎎となっています。
亜鉛と薄毛対策
ウィキペディアの『脱毛の治療』ページによると、亜鉛の服用がマイナスになるような記載も見られます。
in vitroでは、テストステロンからDHTへの変換が抑制された。ただし、内服した場合は、DHTの上昇が示唆される。
in vitro(インビトロ)とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、『試験管内で(の)』という意味で、人為的にコントロールされた培養組織を用いた実験を指しています。
上記は、血漿(けっしょう)テストステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、および精子数に対する亜鉛療法の効果を、5年以上の期間特発性不妊症患者37人を対象に研究した結果によるもののようですが、亜鉛はDHTを阻害するとも言われているので、これによると真逆のことを言っている訳です。
亜鉛療法の詳細がわからないので不明点は多々あるのですが、亜鉛が原因でDHTが上昇がする可能性は否定できないので、亜鉛を過度に摂取するのは控えた方がよさそうです。
亜鉛を薄毛対策に使用する際にも、日本人の食事摂取基準(2015 年版)の推奨量を目安とし、「亜鉛」の摂取を心掛けてみてください。